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料理酒こそ愛しい酒を使おう。

料理には良い酒を使おう。とはよく言われると思います。でも、良い酒ってどういうことでしょうね。

大吟醸?飲みやすいもの?新しいお酒??

私にとって「料理酒として良い酒」は、端的に言うと「濾過が最小限な、味のある酒」です。そして料理のイメージにによって料理酒は変えた方がいい。それは料理によってお塩を変えるのと同じで、岩塩はステーキには合うけど、お吸い物には後味の軽い塩の方が、などありますね。

今回は、晩酌にも飲めるくらいの価格で、かつ力強い料理に使うお酒としてぴったりのものをご紹介します。

七本鎗純米

七本鎗純米酒。この酒蔵のスタンダード純米酒です。

晩酌にも良いのですが、私は様々な料理、ピクルスなどにもこの酒を使います。味見して酒の声を聞いて、お料理に使う。僕にとって唎(きき)酒は酒の声に耳を澄ますこと。

このお酒は日本酒度は辛口なのですが、炭素濾過をしていないこともあり、麹の酵素が効いた甘味と旨味を頭から充分に感じ、酸味がガサッと荒々しく味を切る。濾過をすると簡単に荒々しさがなくなりますが、このお酒はそういう化粧をしていません。ワイルドさが、逆に愛しくなるんですね。最近はお酒の出荷の回転が早いのか、それほど熟成感を感じないので、料理にも使いやすいように思います。

甘味が豊かなので、このお酒と塩と黒胡椒だけで、豚コマ入り野菜蒸し炒めをしても充分美味しい。
もったいないことなんてなく、ストレス解消食ではないシンプルに材料の声が聞こえる食を取り入れることで、別の豊かさに気づくことも悪くないです。

ペアリングするとしたら、お酒を少し温めて豚汁と、が僕のイメージ。渾然一体、酒とお汁の境目がなくなります。

耳をすます、と、愛する、は近しいように思われるのです。愛しい酒を、お料理に使ってください。