Koji糀
力強い完熟の糀。
お米作りの哲学など背景を十分把握することから始め、
糀作りを農作物の育成と見立てて「いかに完熟の糀を育てるか」を大切にしております。
01お米を選ぶ
お米は農作物で言う「土」の役割だと考えます。作物は土のあり方で作物の育ち方、味が変わりますね。糀菌にとっての土がお米。お米という土に糀菌を生やすのです。そのお米の内容次第で、糀の質も変化します。私は直接生産者からお米を買わせていただき、生産履歴を確認させていただいてます。
ハッピー糀:自然農法池内農園「滋賀旭」東近江市で自然農法自家採種を30年以上続けている農家さんです。自然農法で8俵収量があると言えば、その名人ぶりがお分かりでしょうか。その稲は力強く、いつ行っても田んぼが美しいことに感動します。池内農園自然農法米の滋賀旭は、糀作りをしていて楽しいです。外が硬く中が柔らかい蒸米に仕立てやすい特徴があり、糀菌がお米の内部へ入り易い。その方が酵素力の強い糀になるのです。菌が中に入り込んだ結果、糀が膨らみ弾力ある仕上がりになり感動的な糀に仕上がることが多いです。私にとっては菌が喜ぶお米、と感じられております。
大地の糀:SHIBATA GROUND MUSIC「ありがとう米」長浜市湖北町で自然循環農法を30年以上続けている農家さんです。無農薬大豆を育てた畑に稲を植えるという独特の方法で、大豆の根粒菌などがもたらした地力で十分、肥料を入れずに済むらしい。自家採種した種もみからの苗を、尺角1本植えにてたくましく育てます。根と茎がしっかりしているため、完全な登熟まで待てるのが特徴です。肥料過多になっていないそのお米は糀菌がゆっくり育ち、土地のミネラルを感じさせる糀に仕上がります。
太郎糀:むすひグリーンファーム「秋の詩」創業した彦根市の米農家さんで、減農薬米でお世話になっております。トレサビリティを確認しましたが、農薬散布の極めて少ない意欲的な農家さんです。少なくて済むのは苗を疎植にすること、EM菌を使用し土作りにこだわること。むすひさんの「秋の詩」を糀にしますと、その滑らかな甘みに優しさを感じます。
02菌を選ぶ
農作物に例えたら、種に当たるのが菌と言えるでしょうか。
糀菌の元々の色は日本の伝統色「麹塵(キクジン)」と呼ばれる緑色です。戦後、流通の兼ね合いで色を作らない菌が主流を占め、現在ほとんどの糀が白い菌で作られています。(緑色の菌で糀を作っても適期に収穫し冷蔵しておけば白い糀のままで、胞子をつけるとこまで育てば緑色になります)
また、白い色の菌で作った糀は味がポップで軽く、糀の香りが控えめなものが多く、現代人に使いやすい香味に仕上がることが多いです。
「ハッピー糀」には緑の古い菌を中心にブレンド、「大地の糀」にはおおよそ半々、「太郎糀」には白の新しい菌を中心にブレンドしております。
03作るのではなく育てる
私は酒造りの蔵人でしたが、酒の麹とは作り方が大きく異なります。酒の麹は言わば工芸品です。イメージしている酒の味を実現するための酵素バランスを産み出すべく神経のすり減らす作業の連続になります。
現在私が作る糀は「完熟の糀」が目標で、農作物をイメージしています。豊かな土作り(良い蒸米)、適期に種を蒔き(適温で菌を付ける)、しっかりと根を生やす(最初の20時間での菌糸の回り方が勝負)。妙なコントロールをしないことが肝要です。温度は参考程度にし、無理に抑えることはしません。力強い根を生やしたなら、太い幹を育てます(仕舞仕事までの急激な成長)。十分水分量を確保して、のびのびと育っていくのを見守ります。妙に手を入れたりせず、必要な時必要な酸素量を確保してやります。太い幹ができたら、実をつけてきます(仕舞仕事以降の最高温度確保)。
ここからは時間に縛られず完熟まで待つことが大事です。つどつど味見をし、菌が中に入っていっているか、どういう味を構成しているのか、何が必要なのか確認します。水が多すぎても酸素が多すぎでも菌は力を出しませんから、そのバランスをとってやります。そして、十分に熟れるまでじっくりとひたすら待って、「完熟収穫」。つまり出糀。いい糀ができたときは感動しますよ。
業務店・事業者様へ
当工房の製品を一定量ご使用、販売をしていただける方は一度お問い合わせくださいませ。PB商品についてもご相談させていただいております。
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