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河原酢造の爽やかなお酢の秘密。蔵が驚くほど美しかった!

発酵食品工房 ハッピー太郎醸造所です。

先日、福井県大野市にあります、河原(こうばら)酢造さんへ見学に行って参りました。

河原酢造さんの「老梅 有機純米酢」は、当工房セレクトの調味料として販売しており、また、当工房のお漬物(日野菜、ホンモノのガリなど)には全てこのお酢を使用しております。本当に美味しく爽やかで使いやすい純米酢です。純米酢の重いイメージが無く、どなたにもオススメしやすいお酢なのですよ。

老梅酢

 

河原酢造さんは、米作りから酒作り、そして酢造りまで一貫して行なっている、全国でも珍しい米酢屋さん。

今回、その爽やかな味の理由の一つがわかりました。とにかく蔵の清掃が行き届いており、綺麗なのです。

まず精米からお酢作りは始まります。その精米機も冬に稼働するので、夏のこの時期はしっかり分解し、洗浄。虫の発生は一つもありません。

河原酢造精米機

自家精米したお米を丁寧に洗い、まずは酒作り。ある意味酒蔵に勝るくらいの綺麗な設備が用意されていました。

河原酢造洗米機

 

その始末の美しいこと、、、、。これが大事なのですね。

河原酢造放冷機

驚くのは麹室。ステンレスの綺麗な室で、箱麹製法です。完全に手作りの麹ですね。掛け布にゴアテックスを使い、除湿機が備え付けてあるなど、最近の酒蔵と同じような設備と道具でありました。冬場はお蔵元自ら泊まり込みで守りをするそうです。

河原酢造箱麹

薮田(搾り機)の匂いも綺麗です。

河原酢造薮田

まずは良い酒を作ること。もちろんお酢向きの酒なので、できる限り米を溶かし、完全発酵させ(日本酒度+20くらいまで行くそうです)、アミノ酸をしっかり出してから、酒を搾ります。米洗いをしっかりしてきっちり糠を落とすことが肝要で、道具由来の妙な雑菌汚染がないような状態で、質の良い酒を造っていることがわかりました。できれば酒で飲んでみたいくらいです。

元蔵人の私も、興奮と驚きの連続でした。

そして別棟の蔵にお酒を移動し、酢酸発酵させます。

河原酢造酢酸発酵

表面に張り付いているのが酢酸菌で、酒をタンクに移動した後、隣のタンクより種菌を植え付けます。3日もすれば上部全面に菌が広がるそうです。

河原酢造さんのお酢は静置発酵ですので、少なくとも3ヶ月、酢酸発酵に時間がかかります。酢酸発酵には酸素が必要で、酸素に触れている表面のアルコールが酢酸菌によって酢に変わり、酢はアルコールよりも重たいのでタンクの下部へ移動し、アルコールが上部へ上がってきます。ゆったりとした循環の中、発酵が進んでいきます。

河原酢造蔵元

河原酢造のお蔵元です。丁寧なご説明からもそのお人柄が伺い知れます。それにしても酢酸発酵室も、ホコリひとつ落ちていないのではないかと思うくらい綺麗でした。

また、タンク一つ一つにラベルが貼ってあり、原材料の米の生産者の番号が記してあります。河原酢造さんのお酢はホームページからその製品番号によって生産者履歴が検索できるようになっているのです。これも感動ですね。

そして、お酢になったら、簡単な濾過をしますが、色や味を無理やり削ぎ落とすことはないそうです。私はここのお酢は大変綺麗な色ですから、過度な濾過をしているのか疑問に思っておりましたので、お蔵元に質問をぶつけたのですが、全くそんなことはないとのこと。大変失礼しました!!これはとてもうれしく思いました。

そして1回火入れの瓶詰め。製品となります。

河原酢造製品

なぜ河原酢造さんのお酢が綺麗で爽やかな香りがし、使いやすいお酢なのか、お蔵元は端的な答えではなく、一つ一つの積み重ねで、どれもないがしろにできないのです、ということでした。

酒造りに従事していた私でさえも、心震える現場を見させていただきました。

これからも河原酢造さんの「老梅 有機純米酢」、大切に使わせていただき、多くの人にお伝えしたいと思います。

通販もさせて頂きますので、ホームページのお問い合わせからぜひ。オススメですよ。

(了)